〜自律神経ってなんだ!?上手に付き合おう〜

こんにちは。医師の瀬田です。月曜の外来を担当しています。
今回は自律神経の正体と、リラックス法についてお話したいと思います。

「自律神経失調症」という言葉をよく耳にするかと思いますが、この病名は医学的には存在しません。
とはいえ、自律神経の調節の異常で困っていることはよくあります。
これはどういうことでしょうか?

まず簡単に説明すると、人間の身体(心も含めて)は全て神経に支配されています。
中枢神経、末梢神経などが情報を伝達しながら身体をコントロールしているのです。

そして第3の神経「自律神経」は全身のあらゆる場所(血管・心臓・胃腸・肝臓・腎臓・膀胱・肺・汗腺・唾液腺etc)に分布し、わたし達が意識することなく自動的(自律的)に身体を調整するように働いてくれています。

この自律神経系には「交感神経系」と「副交感神経系」があります。(ここ重要です)

簡単にまとめると、
「交感神経系」は、戦闘や逃避など本能的に生き抜くために執拗な状況に対して体を準備します。
心拍数は上がり、気道は広がり、筋肉は活動に備え、瞳孔は広がり、毛が逆立ち、発汗します。これらの反応は瞬時にスイッチがオンとなります。もし目を開けた瞬間に口を開けたライオンが居たら、交感神経系を全開にしてダッシュしないと死にますよね(あきらめないでください)。その分、緊急時に不要な消化管や性機能は低下しバランスをとるわけです。

対して、「副交感神経系」は温存や回復を目的とした身体のコントロールを担っており、リラックスした状況を作り出します。心拍数や血圧は下がり、消化管は刺激され、性機能は亢進します。安心が得られ当然寝ているときも副交感神経が優位になります。このスイッチングはゆっくりと起きるため、「はいっ、リラックスして」と言われてもふつうは瞬時にリラックスすることはできません。

死ぬ気で走りライオンから逃げ切って、「ふう」と一息つき交感神経全開状態から徐々に副交感神経系へ一部スイッチしていくと、「ぐ〜〜」っとお腹が鳴って「なんか安心したらお腹へってきたなぁ」となるわけです。

この交感感神経と副交感神経のバランスがうまく取れなくなることが、俗にいう「自律神経失調症」の正体です。夜に心配事を考えて眠れない、ドキドキする、胸が苦しい、火照る、頻尿、発汗、イライラ、不安が強いなど、意識しないうちに緊張が高まり、副交感神経へのスイッチが出来ないことがその代表的な状態と言えます。自律神経の反応は意識していない分、身体(臓器)がなんだか分からない反応を起こして、不安で苦しく感じます。重要なのはまず「緊張が高まっている」状態を意識すること、そして意識的に副交感神経へのスイッチングを身につけることです。

そこででてくるのが「呼吸法」です。
「アタマを空っぽに」にして、目をつぶり、3秒かけて大きく息吸って数秒止め、とにかくゆっくりゆっくり吐く息をながーく意識して腕の重さを感じるくらいに力をダランと抜いて、アタマに浮かぶ余計な思考を切る、浮かんでは切る、を繰り返し、肺に入る息や周りに聞こえる音、つまり「今」だけに集中します。自然に心拍数が下がっていき心臓の鼓動が弱まり、お腹の下の方に感覚が集まって行くのを感じることができるはずです。瞑想と同じ原理ですが、これは宗教的なものではなく、身体コントロール法の1つです。

こうして緊張に気づき、副交感神経へのスイッチングを上手にできるようになるだけで大分楽になるはずです(特に寝る前など)。お金もかからず、副作用もありません。自己コントロールの上手な人はこんな原理を理解しなくても、自然にやっていますよね。自律神経の正体とともに、薬を飲む前に実践できる、自分の身体と向き合うリラックス法をご紹介しました。私も毎日やっていますよ!

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