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| 現代医学の忘れ物 | ||
| (院長の独り言) | ||
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| 信愛クリニックは、患者様の立場に立って、理念に基づく開かれた医療を実践します | ||
| ◇EBMの意義 ◇ |
| ●このコーナーで考えるEBMの意義 |
このコーナーの主旨、すなわち現代医学と患者様の真の需要のギャップを追求する、という観点からEBMを考えてみましょう。 EBMを実践するとき、まず「疑問の定式化」を行います。医師がまず、「自分が今判断の岐路に立っているんだ」という認識をもち、問題を問題として認識することから始まります。この姿勢が重要なのです。何の疑問もなく「これまでのやり方」や「うちの医局でやってる方法」を選択してしまってはEBMの方法論以前の問題となります。 |
| ●疑問の定式化とは |
| 大腸癌が多発肝転移をきたした50代女性に対して、肝動注リザーバーを用いてCPT−11を用いた科学療法をおこなうことにより、1年生存率が20%以上改善するか? なるべく具体的な「疑問文」をつくる方が明確になります。これを「大腸癌の肝転移にはどんな化学療法が良いのか?」という疑問にすると、もっと漠然とした疑問になります。その一方で具体的条件を細かく設定し疑問を特定するほど、それに合致するevidenceはみつかりにくくなります。 |
| ●アウトカムを意識することが患者様のためのEBMの本質 |
| 上記の定式化された疑問のうち、患者様の属性は医師や患者の好みにかかわらず決まります。 介入方法の選択肢をいくつ設定するかは医師の知識と経験により決まります。 問題は、何をアウトカムにするか、です。アウトカム、とは評価の対象とする項目です。何を評価するのか選択することにより、医師の問題のとらえかたがはっきりします。 上記の例の場合、アウトカムとして ・ 6ヶ月後にCTで測定した肝腫瘍の体積縮小率 ・ 1年後の生存率 ・ 5年後の生存率 ・ 生存期間中のQOL を考えてみましょう。 アウトカムを「6ヶ月語にCTで測定した肝腫瘍の体積縮小率」としたばあい、患者様の様子というよりCT所見が評価ポイントになります。6ヶ月後のCTをみて、「○○さん!腫瘍が小さくなりましたよ!」と喜ぶのは良いのですが、患者様本人は厳しい治療でフラフラ、もう身動きもとれないほど弱っており、弱々しく「そうですか・・・」と答えるのみ、結局その2週間後に多臓器不全でお亡くなりになった・・・。ありがちな状況ですが、アウトカムを腫瘍の体積縮小率に設定した以上、この治療は「成功した」と評価されるでしょう。 今度はアウトカムを「患者様が生存していたあいだのQOLもしくはQOLの総和」に設定してみましょう。まず最初にぶつかるのが、「QOLって何?」という問題です。探してみると、QOLスコアを算定する方法は幾つも発表されています。では、あなた自身のQOLをそれで測定してみたらどうでしょう?「あなたのQOLは36点、まあ中等度ですな」といわれてどう感じるでしょうか? 「冗談じゃない、俺は自分の人生にもっと満足しているぞ、おまえに中等度なんていわれたくない」 「中等度?どう考えても私のQOLはそれよりも悪い、自分の人生はほとんど最低じゃないだろうか?」人により答えは様々でしょう。そもそもQOLのgold standardなんて存在しうるのでしょうか?患者様にそのスコアを適用しても納得が得られるものなのか、そもそも納得が得られれば良いというものなのか、QOLという概念自体が価値観や感受性の問題を含むため極めてあいまいであり定量化が困難であります。 このようにあいまいで定量化や測定が困難でいながら重要な意味をもつものこそ、「現代医学の忘れ物」として追求すべき対象なのです。 すなわち、このコーナーの主旨からEBMを考えたとき、「アウトカムをどう意識するのか」という問題こそが患者様の利益と医師の行動をつなぐ、あいまいかつ重要な接点なのです。 問題に当たったとき文献に飛びつくことよりも、「何がアウトカムなのか?」を意識することが患者様のためのEBMにつながるのです。 |
| ■現代医学の忘れ物(院長の独り言)■ | |||
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