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強迫性障害

強迫性障害とは

強迫性障害とは、パニック障害と同様に「不安障害」(不安を主症状とする病気)の一つです。
不安障害は非常に頻度の高い病気であり、従来神経症と呼ばれていたものの多くが含まれます。
それに対して、うつ病や適応障害は「気分障害」(気分の変動により生活に支障をきたす病気)に分類されます。
不安障害は、気分障害の約1.5倍の有病率があります。
また、不安障害の80%以上は気分障害と併存しています。

強迫性障害は「OCD」(obsessive compulsive disorder)とも呼ばれるように、強迫観念(obsession)と強迫行為(compulsion)がみられるのが特徴です。
多くの場合併存し、強迫観念による不安を打ち消すために、強迫行為を繰り返すことで、社会生活に支障をきたしてしまいます。
代表的な症状として、戸締りや火の元を過剰に確認する「checking」、不潔への恐怖から何度も手を洗う「washing」、数字にこだわりなんでも数える「counting」があります。

強迫性障害の原因

強迫性障害の原因ははっきりとは分かっていませんが、病気の根本には不安感があります。
人の脳内には、不安を緩和して安心感に変えていく神経伝達物質「セロトニン」や「ドーパミン」などが存在します。
これらの物質が作られる腸管の機能が落ちていたり、原料のタンパク質や、補因子の鉄、亜鉛、ビタミンB群が不足していたりする状態だと、不安感を打ち消すことができず、強迫性障害の一因になり得ると考えられています。

強迫性障害の症状

代表的な強迫観念と強迫行為には以下のようなものがあります。

①確認行為(checking)
戸締りや火の元、スイッチなどを、繰り返し確認せずにはいられません。
玄関の鍵をきちんとかけて家を出ても、途中で戻って再度確認したり、寝る前に戸締りをしても、布団に入ってからもう一度起きて確認してまわってしまうなどです。

②洗浄、不潔恐怖(washing)
目に見えない細菌や微生物等の汚染に、恐怖を感じます。
何度も手を洗う、洗濯物が床に落ちたら洗い直す、人が触れた食器は使用できなくなる、ドアノブやつり革を不潔と感じて触れなくなる、などが挙げられます。

③数字へのこだわり(counting)
なんでも数えなければ気が済まないなど、数にこだわる傾向があります。
特に不吉な数字などを、縁起をかつぐレベルを超えて、許容できなくなります。
④儀式行為
物の配置や左右対称性、置き方の順番などへのこだわりが強くなります。
物事の進め方や食べ方などにも、自分でルール付けをして、従わずにはいられなくなります。

⑤加害恐怖
自分のせいで、誰かに被害を加えてしまっている可能性を極度に不安視します。
例えば、自分が落とした物のせいで誰かがケガをしたり、死んでしまったりするかもしれないという恐怖を拭い去ることができません。

上記のような強迫観念と強迫行為に苛まれていると、全般性不安障害やうつ病を併発しやすくなります。
常に不安が頭から離れず、身体の緊張が取れないため、筋肉や関節の痛みが起こります。
また、不眠、食欲低下、集中力や判断力の低下、イラつき、焦燥感など多彩な症状がみられるようになります。
そうして日常生活に支障が出て来るようになると、強迫性障害と診断されます。

強迫性障害の治療


①栄養療法
不安感を軽減させるための脳内神経伝達物質「セロトニン」や「ドーパミン」などのモノアミン体は、腸管内で作られます。
作るための原料としてタンパク質、補因子として亜鉛、鉄、ビタミンB群、それにしっかりとしたエネルギーが必要になります。
採血を行って不足している栄養素を調べ、それらをしっかりと摂るようにします。
タンパク質不足なら、肉や魚、卵、大豆といった食材を摂ります。
プロテインを飲むのもよいでしょう。
亜鉛や鉄、ビタミンB群は、サプリメントや内服薬で補充していきます。
一方で、不安感を増大させる原因となる食材の摂取を制限します。
糖質や炭水化物のほか、カフェインやアルコールも控えめにします。
これらを制限しつつ、タンパク質でしっかりとエネルギーを摂取していくことが大事です。

②環境の調整
強迫性障害の人は、自分の強迫観念を家族に強要するなど、周囲を巻込むことが多々あります。
特に「洗浄、不潔恐怖」に関しては、大事に思っている相手に対して強要してしまいがちです。
手を洗わせる、お風呂に入らせるほか、素手であちこちを触られることを怒ることもあります。
そのような強要に対して、怒り返したり馬鹿にしたりするのは逆効果となります。
身近な人が理解を示し、協力していく環境が、本人の安心感を生み出すのです。
ただし、本人の要求にただ答えているだけでは、徐々にエスカレートしていくこともあります。
まずは本人に、強要は思い通りにならず、かえってストレスをためてしまうものであることを理解してもらうことが大事です。
本人のルールを少しずつ緩くしていくつもりで、ご家族が協力していくとよいでしょう。
家族が理解に努めて、支えてくれていることが伝われば、安心感につながります。

③薬物療法
栄養療法や環境の調整に加えて、薬物療法を要することも多いです。 第一選択薬は「SSRI」という種類の薬になります。これは脳内の神経伝達物質であるセロトニンの濃度を増やす薬です。セロトニンは不安感を打ち消す作用があります。 強迫行為が強い場合には、保険適応外になりますが、少量の非定型抗精神病薬をSSRIと併用することにより強迫観念と強迫行為の度合いが低くなっていきます。 ④暴露療法・反応妨害療法  不安レベルがある程度低くなったら、徐々に「暴露療法」と「反応妨害療法」に挑戦していきます。
これは、恐怖や不安の対象のうちハードルの低いものから段階的に向き合って慣らしていき、強迫観念が起こるのを少しずつ我慢して、強迫行為をできるだけ行わないようにしていく方法です。
慌てずにゆっくりと一つずつハードルを越えていくことが大切です。

そして何よりも大事なのは、病気に立ち向かい、良くなろうという気持ちです。
気持ちが体と心の向上に向いている時点で回復への大きな一歩を踏み出したと言ってよいでしょう。
原因のはっきりしていない病気ですが、不安感を取り除いていくことで治療を行うことができます。
診察を重ねて不安感を取り除き、必要な栄養をしっかりと摂取し、少しずつ行動により自信を手に入れていくことによって、慌てずに時間をかけていけば克服できます。
また、できれば一人で戦うのではなく、支えになってくれる信頼できる人がいることが望ましいです。
新たにできるようになったことや、やらずに済んだことが、ほんの小さなものでも、一緒に喜び、話を聞いてくれる存在が必要です。

強迫性障害は非常に苦しい状態であり、しかも人に理解されにくいものです。
強迫観念や強迫行為をばかげたことだと思いながらも止められず、羞恥心により誰にも相談できずに苦しんでいる人も少なくありません。
人知れず一人で悩んでいると、症状が重くなってしまう可能性があります。
早期治療が早期回復へとつながりますので、「自分はそうかもしれない」と思ったら、お早めにご相談ください。

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