不安障害は、精神疾患の一種で、不安に対して様々な症状があらわれる病気です。 私たちは、毎日の生活の中で様々な不安・恐怖を感じることがあります。 例えば、入学や就職、転職などで新しい環境に入っていくときには、誰しもが不安になります。 不安という感情は、これから危険な状態に陥ってしまうと脳が判断したときにあらわれる感情です。 身を守り、外敵やストレスに対応するために生まれながらにして備わっている重要な自己防衛反応でもあります。 しかし、これはあくまでも一時的なもので、時間が経てば忘れてしまいます。 ただ、中には不安や恐怖が大きくなりすぎたり、不安な感情が長時間持続してしまったり、 不適切な場面で不安を感じてしまったりする人がいます。 精神的に苦しい症状が続いたり、身体の症状が出現してしまったりし、 それらの症状を回避しようとして、ストレスを感じたり疲れたりしてしまい、生活行動を制限するようになります。 結果、日常生活に支障が出るレベルとなってしまう状況を「不安障害」といいます。 不安な感情は自分を守るために必要な心のアラームです。 ほどほどの不安を感じることは大切なことであり、必要なことです。 しかし、不安障害というのは、極度の不安な感情のために、1日中アラームが鳴っていたり、 とんでもないときにアラームが鳴ったりしています。 WHOの調査では、日本には約1000万人以上の不安障害の方がいるのではないかという指摘もあります。
不安障害の原因は1つではなく、あらゆる疾患が関係してきます。
代表的な疾患を5つご紹介します。
突然理由もなく、強い不安感や動悸、冷汗などの自律神経の症状が生じます。
場合によっては死んでしまうのではないかという恐怖すら覚えることもあります。
数分から1時間程度でおさまる発作的な不安や身体の異常な反応が起こります。
人に注目されることや、人前で恥ずかしい思いをすることが怖くなり、
人前で何かをすることに強い不安や恐怖を感じます。
人と話すことだけではなく、人が多くいる電車やバス、
繁華街といった場所に対しても、強い苦痛を感じます。
怖さのあまりパニック発作を起こすこともあります。
いわゆる「対人恐怖症」や「あがり症」は社会不安障害の症状の1つです。
自分でも不合理だとわかっているにも関わらず、ある行為をやめられず、
くりかえすことに時間がかかってしまい、学校や日常での生活に影響が出てきます。
たとえば「外のものに触れたため、くりかえし手を洗い続ける」
「火の元や戸締りが心配になって何度も確認する」といったものがあります。
自分でも不合理だとわかっているにも関わらず、ある行為をやめられず、
くりかえすことに時間がかかってしまい、学校や日常での生活に影響が出てきます。
たとえば「外のものに触れたため、くりかえし手を洗い続ける」
「火の元や戸締りが心配になって何度も確認する」といったものがあります。
これといった原因はないのに、
漫然と不安や恐怖を感じてしまっている状態です。
学校のことや家族、友達のことなど、
生活上のあらゆることに対して不安を感じてしまいます。
そのため、極度に不安や心配になる状態が半年以上続き、
日常生活にも支障をきたしてしまいます。
その人の経験からトラウマを抱え、
特定の状態に陥ると強い不安や恐怖を感じてしまう症状です。
閉所恐怖症・先端恐怖症・集合体恐怖症・
高所恐怖症・動物恐怖症など、様々な限局性恐怖症があります。
身体面
頭痛・倦怠感・震え・手指のしびれ・腹痛・
胃の不快感・吐き気・嘔吐・急な汗・脈が速くなる・
喉が詰まった感じがする・下痢・便秘・
過呼吸・めまい・ほてり・耳鳴りなど
・不安や恐怖が継続的に出てしまう
・特定の状況下において、不安や恐怖、緊張といった状態がピークに達し、自分ではコントロールがきかなくなる
・頭の中から不安な気持ちが離れず、解決することもできない
・不安の感情が強く達して、死んでしまうかもしれないと感じるレベルで、強い苦痛となってしまう
・悪い方向に考え出すと止まらなくなり、なにもできなくなってしまう
など
目安としては6ヶ月以上同じような状態が続くと、
不安障害であると診断されます。
不安障害と通常の不安がハッキリと区別されているわけではありません。
しかし、数ヶ月不安や恐怖にさいなまれ、
日常生活に支障をきたしているという方は、病院の受診を検討してください。
また、その不安が身体疾患からのものではないということを確認する必要があります。
一般的な内科的検査の尿検査、血液検査、心電図検査、
X線検査、超音波検査などが行われ、内科的な異常がないかどうかの検査を行います。
このような検査において異常がなければ、診断が確定します。
不安障害は基本的に薬物療法と精神療法(カウンセリング)を組み合わせて行います。
医薬品によって精神的に落ち着きを取り戻すことで、不安や恐怖を軽減していきます。
不安障害ではうつ病と同様にセロトニンが関連しているといわれています。
そのため、主に抗不安薬、抗うつ薬などが使われます。
それぞれ多数の種類があるため、個々の症状や体質に合った薬が処方されます。
また、対処療法として、動悸やふるえなどの体に表れた症状を抑えるための
「β遮断薬」や睡眠薬などが使われることもあります。
カウンセラーと共に話をしながら、「認知行動療法」を用います。
不安や恐怖の原因となっている事柄や環境に対しての考え方を
変えるようにしていき、不安をコントロールする療法です。
こころと体をリラックスさせ、苦手なモノや場所に少しずつ慣れさせていったり、
極端な考え方のクセを見直していきます。
不安や恐怖に対処できるようなサポートを受けつつ、
苦手なことに段階的にチャレンジしていき、回復を目指します。