認知症の人の気持ち

コラムを読んでくださっている皆さん、いつも有難うございます。
今回は『認知症』についての話しをしていこうと思います。

はじめに、認知症とは記憶力や思考・判断力が低下して、日常生活がだんだんと送れなくなってくる病気です。平成24年度の時点で7人に1人が認知症になっており、年々増えてきています。この先、大切な家族が認知症になったり、自分も認知症になる可能性があるのです。現在、認知症の治療に関しては完治させる薬はなく、進行を抑える薬しかありません。

私の前の職場は大阪大学医学部附属病院の精神科でした。そこの精神科の3割は認知症で入院する患者さんでした。認知症かどうか精密検査をしたい患者さんから、認知症初期で施設を探す患者さん、認知症中期になり怒りっぽくなったために家や施設での生活が出来なくなった患者さん、認知症末期になり日常生活のサポートをしながら薬の調整・施設探しをする患者さん、など様々な方を看てきました。
認知症ではどんどん脳が萎縮してきます。それにより、物事を論理的に考える脳の場所や記憶していく脳の場所などがどんどん正常な働きができなくなってくるのです。時には人格が変わったり、怒りっぽくなったりもします。そういう姿を見て、支える家族は凄く辛く、寂しい思いをします。時には怒りをぶつけてしまったり、いっその事早く施設に入ってしまえばいいと思われるかもしれません。それほどに認知症の患者さんを支えていくのが大変なのです。

そういった認知症になった方にどう接していいか看護師や医療従事者も分からないことが多いです。医療の知識がない方なら尚更だと思います。そこで認知症の方の気持ちや状況を理解する二つの考え方があります。一つは『もしも自分が全く知らない外国に一人でぽつんと取り残されたらどう感じるか』を想像することです。認知症の患者さんにとっては目の前の人や環境は毎回忘れてしまうため全く知らない状況に遭遇することになります。不安だし、どこにいけばいいか分からないし、とりあえず家に帰りたいからどこが家なのか聞いて回ったりします。ずっと不安だから夜も寝れなくて置きてしまうし、トイレに行きたくっても場所が分からないから出来るところでします。全部仕方ない行動なのです。

もう一つの考え方は、人として嬉しかったり悲しかったり、怒ったりする感情を作り出す扁桃体という脳の部分は正常であるということです。自分がしたこともしっかり感じるし、怒られたら悲しいし、褒めてもらえると嬉しいし、安心できる場所・ゆっくり出来る場所・美味しいご飯があること、そういったものはすごく嬉しいって感じるんです。だから優しく温かく接してあげて下さい。

最後に、現在認知症の家族を支えている方は『もしも自分が全く知らない外国に1人でぽつんと取り残されたらどう感じるか』という事、そして、悲しかったり嬉しかったり怒ったりする感情は正常であるという事を思い浮かべながら接してあげて下さい。また、家族のことで悩んだり困ったときは1人で抱え込まず周りの人や信愛クリニックにSOSサインを出してください。もし大切な家族が認知症になったかもと感じたら、いつでもご相談下さい。あなたは1人ではありませんからね。

看護師 T.D

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