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愛着障害

愛着障害とは

愛着障害とは、幼少期の愛着形成に何らかの問題を抱えている状態をいいます。
愛着とは、医学的には「特定の人に対する情緒的なきずな」を表します。 赤ちゃんは生まれてすぐから母親を求めます。
泣いていても抱っこすると泣き止み、しっかりとつかまります。
母親と触れ合うことで赤ちゃんは安心感を覚え、すやすやと眠るのです。
反対にスキンシップが不足した赤ちゃんは食欲も低下します。
スキンシップは赤ちゃんにとってとても重要であり、母親も抱っこすることによって赤ちゃんへの愛情を強めていきます。
もう一つ、赤ちゃんに重要なのは、スキンシップを与えてくれる人が特定の人であることです。
多くの人にかわいがられるのは幸せに見えますが、赤ちゃんには深い愛情をもってスキンシップを取ってくれる特別な存在が必要なのです。
愛着の形成は、生後約6カ月〜1歳半くらいが大事な時期とされています。
この時期に母親や父親、あるいは特定の養育者から何らかの原因で引き離されたり、養育者が交替したりすると、愛着形成に問題を抱えやすくなります。


愛着障害の医学的分類・特徴

愛着障害は、医学的には「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」と「脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)」に分類されます。
愛着スタイルを形成する大切な時期に安定した愛着を受けられなかった場合に、5歳までに発症するとされています。
①反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)
反応性愛着障害の子どもは、人に頼ることがうまくできません。
苦しくて助けが必要なときでも、養育者に保護を求める努力ができないのです。 反応性愛着障害の子どもの特徴
・警戒心や恐怖心が強く、人を避ける
・人の言葉に深く傷つく
・悪ふざけをしたり、どこかを痛がったりするなど、試し行動が多い
・髪の毛や皮膚をかきむしるなど、自傷行為がみられる
・すぐに嘘をつく
・体が小さい子どもが多い
・体が弱く、すぐに風邪を引く
・食べる量が少ない
・イライラしていることや、おびえることが多い
・ちょっとしたことで、ひどく落ち込む
・謝ることができない
・自己評価が低く、「どうせ自分はできない」と言ってチャレンジしない
・喜びや悲しみの反応が乏しい
・「嫌われたらどうしよう」と、いつもびくびくしている。もしくは攻撃的になる
②脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)
脱抑制型愛着障害の子どもは、無差別に人に甘えます。
注意を引くために誰にでも親しげにしますが、仲間と協調できません。
苦しいときに人から慰めてもらおうとすることは正常にできますが、その相手を選びません。

脱抑制型愛着障害の子どもの特徴
・誰にでもしがみつく
・知らない人に対する態度を調節することができない
・なれなれしい
・注意を引くために大げさな態度をとる
・感情を不釣り合いに表現する
・その場にそぐわない、空気を読めない行動をとる
・落ち着きがない
・乱暴な行動もしばしばとる
・過度にわがままである
・謝ることができない
・強情で意地っ張りである
・すぐに嘘をつく
反応性愛着障害、脱抑制型愛着障害のこれらの特徴は、発達障害の「ADHD(注意欠如・多動症)」や「ASD(自閉スペクトラム症)」に似ています。
発達障害と診断された人の中にも、実は愛着障害の問題を持っている人がいる可能性があります。
しかし、発達障害が生まれつきのものなのに対し、愛着障害は養育環境による後天的なものである点が大きく違います。

愛着障害の原因

愛着障害は、幼少期の愛着形成に関わる次のような原因によってもたらされます。
・両親の離婚
・養育者のネグレクト、無視、無関心
・養育者の頻繁な交替
・養育者との死別、離別
・虐待
・兄弟との差別、極端な比較
・褒められ体験の欠如
・厳格すぎるしつけ環境
ほかにも原因はたくさんありますが、主にこのような環境因子での幼児期を経て、 小児期に「反応性愛着障害」や「脱抑制型愛着障害」の明確な形を取る人はもちろん、 明確な形を取らずに育った大人たちにも愛着障害が高頻度にみられます。
そして、彼らの多くが何らかの対人関係の問題を抱えたり、そのために生きづらさを感じていたりしています。

大人の愛着障害 ~愛着スタイルの分類・特徴~

大人の愛着障害に関しては研究も少なく、エビデンスのはっきりしたものがないことなどもあってか、
医学的には明確な病気としては扱われていません。
しかし、心療内科の実際の診療では、問題の核心に愛着障害が存在していることが多いのです。
日本における愛着障害の第一人者である精神科医の岡田尊司先生は著書を多数出されており、 大人の愛着障害についても分かりやすく解説しています。
一般の方向けの本もベストセラーとなっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
岡田先生は著書で、人が人と付き合う対人関係には人それぞれのパターンがあり、心の奥深いところにある「愛着スタイル」によって支配されていると言っています。
そして、愛着スタイルを「安定型」と「不安定型」に分け、「不安定型」をさらに「不安型」「回避型」「恐れ・回避型」の三つに分類して説明しています。
「不安定型」の愛着スタイルを持つ人は、成人の1/3にも達するといわれています。
●「安定型」の特徴
対人関係でも仕事でも、高い適応能力を持っています。
人としっかりとした深い信頼関係を結ぶことや、相手に対してきちんと自分を主張することができ、不要な衝突は避けられます。
困ったときには上手に人に助けを求めることも、自分で自分を守ることもできます。
健全な自己肯定感も持てるためストレスに強く、うつに陥ることもめったにありません。
●「不安定型」―「不安型」の特徴
いつも人に気を使っているので疲れています。
上司や同僚だけでなく、自分の恋人や家族に対してまで、相手の顔色を異常に気にします。
自己アピールがうまくできず、本心を抑えて人に合わせようとしますが、そういう自分に自己嫌悪感を持っているので、相手の反応をつい悪い方に取ってしまいがちです。
また、「人に嫌われたくない」「人に受け入れてもらいたい」という欲求が強いため、気遣いしすぎる上に、人にも同じくらいの気遣いを求めて空回りしてしまいます。
強く相手を求めているのに拒絶されるのが怖くて、逆に相手を拒絶してしまうこともあります。
●「不安定型」―「回避型」の特徴
距離を置いた対人関係を好み、親密さは重みに感じてしまいます。
縛られたくないので人に依存もしない代わりに、人から依存されることを迷惑と感じます。
仲間と一緒にいても否定的な意見が多く、自分に責任がかかることを避けようとします。
人とぶつかることが嫌いで、一歩引いて衝突を避けることが多いのに、人の気持ちに無頓着なため、急に攻撃的になって相手を傷つけてしまうこともあります。
人に悩みを相談されたとしても、共感ができないため、関心がないように見えてしまいます。
●「不安定型」―「恐れ・回避型」の特徴
「不安型」と「回避型」のいずれも強い人が、「恐れ・回避型」です。
「安定型」以外の愛着スタイルの人は抑うつ気分に陥りやすく、人間関係も器用にできないことから適応障害も発症しやすくなります。

大人の愛着障害の治療(克服)

愛着障害は幼少時の環境が原因となっているため、薬物療法や認知療法などで治していくものではありません。
愛着障害によって、その二次的状態であるうつ病や適応障害を発症している場合や、依存性・回避性・境界性のパーソナリティーの人に対しては薬物療法を要することもありますが、どれだけ行っても根本的な解決には至りません。
なぜなら、愛着障害は克服するものだからです。
不安定な愛着スタイルの人が持つ愛着の傷の修復には、「安全基地」の存在が重要です。
「安全基地」とは、自分がつらいときや不安なとき、満たされたいときなどに、心理的に安心できる「人」や「場所」のことをいいます。
具体的には、ありのままの自分を話せる人や信頼できる人。
心療内科医やカウンセラーでもよいでしょう。
あるいは、好きな音楽や本の世界でもかまいません。
そこにいれば、自分は守られている、安心していられると心から思える居場所を確保するのです。
「安全基地」を得て、心が十分に満たされ、「そこに自分がいてもいいんだ」という自負が芽生えると、無意識のうちに心の奥に引っ込めていた自分自身を表に出せるようになっていきます。
人との付き合い方のスタイルもおのずと変わり、少しずつうまく付き合えるようになれば自信につながり、自己肯定感が育っていくのです。
愛着障害では、幼少時に満たされなかったことを成人しても引きずっていますので、その満たされなかった気持ちを補っていくのが理想的です。

心療内科を受診する、うつ病や適応障害、不安障害、あるいは依存性・回避性・境界性のパーソナリティーの人は、 心の根底に愛着障害が潜んでいることがよくみられます。
このような人たちには、その二次的状態であるうつ病や不安障害などの治療だけをどれだけ行っても根本的な解決には至りません。
根本にある愛着障害の克服に目を向けていくことが大切なのです。

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