院長ブログ
PIPC-Nsが本当に伝えたいこと
PIPC-Nsセミナーでは、精神医療の知識と技術を伝えます。
知識と技術を伝えて、それでもって何をして欲しいのかというと、
人の心と、向き合って欲しいのです。
患者さんの心だけではありません。
自分の子供、夫、あるいは、親。
落ち込む友人。
辛そうにしている同僚。
心が折れそうに見える後輩。
そんな時、一歩前に踏み出して、手を差し伸べてあげてほしい。
しかし私達が本当に伝えたいものは、その更に奥にあります。
一歩踏み出すことで、見えてくるもの。
人が織りなす物語。
それに伴う心の動き。
それらを感じて欲しい。
あなたにだって、同じような心の動きがあることにも、気づくかもしれません。
人にとって、本当に大切なものとは何か。
生きるって、どういうことなのか。
目の前にいるその人を、より深く感じるとき、確かな手応えとして「ありがとう」が返ってくることもあります。
思い切って関わって、良かった。
そんな体験を重ねてゆくと、あなたの心に、いつのまにかエネルギーが入っているのに
気づくでしょう。
医療従事者として、あなたが自分に誇りをもってくれたら、嬉しいです。
院長ご挨拶
こんにちは。
信愛クリニック院長の井出広幸です。
PIPC(Prychiatry In Primary Care)は本来、内科医が精神科的診療を学ぶためのプログラムです。米国内科学会のワークショップで行われていた内容を、私が9年前に日本に持ち込みました。
Robert H Schneider先生がMAPSOという問診ツールを使って、精神科的問題がありそうな患者さんに関わることにより、内科医でも精神科的な診察と治療が可能になることを伝えるプログラムがPIPCです。
私は全国でPIPセミナーを実践してきました。
年間30~40講演を9年間続け、日本の全県を訪れました。
私がPIPCセミナーを通じて伝えてきたことは、
・一歩踏み込んで、患者さんと深く関わりましょう
・相手の心に焦点を当てると、心と心でつながれますよ
・それは極端に時間がかかり過ぎることはありません
・何よりも自分が相手にどんな意識で向き合うのかが大切です
・安定剤や抗不安薬を使わない方が、人は順調に回復します
・SSRIを適切に使うと大抵の不安はよくなります
・患者さんと本当に向き合うことが、私達の診療を根本的に変える事につながります
です。
そして私は昨年になって初めて、看護師のためだけのPIPCセミナーを実施してみました。驚いたことに、ナース達は、医師達よりもずっと早く深く心を開くことができるのです。
感情を大切にしながら、自分の心の内側に目を向けて、自分の心の動きを表現し、それを共有しあうことが、ナース達は自然にできることを知りました。
PIPC-Nsは、時に患者さんからも離れて下記のテーマを話し合う場となりました。
・人と向き合うとはどういうことか
・自分の心の中にあるものを出す
・愛って何なのだろう?
難しいテキストがある訳でもなく、お互いの話を聴き、自分の心の内側を語るうちに、不思議とお互いがつながりを感じるようになっていました。
PIPC-Nsとは
・自分の心に意識をむけて、自分の心にあるものを知る
・相手の心とつながるコミュニケーションとは
・大切な人や、身近な人と、実際にどう関われば良いのか
を率直にオープンに話し合う場です。
この場をきっかけに、皆さんが、自分の心や他の人の心に関心を持ち、心と心がつながり合うコミュニケーションを探求するようになって頂ければ嬉しいです。