大腸の内側の粘膜層の一部が、
こぶのように盛り上がっていることを、大腸ポリープといいます。
ポリープの大きさや形、発生する部位などは様々です。
特に症状がないことがほとんどです。
しかし、稀に血便や腹部の違和感が起こることもあります。
良性のことが多いので、放置しても問題ないことが多いですが、
一部がん化することがわかっているので治療が必要になります。
大腸ポリープは、構造により大きく2つにわけられます。
1つは「腫瘍性のポリープ」で、もう1つは「非腫瘍性のポリープ」です。
大腸がんになる可能性があるものは、
「腫瘍性ポリープ」の種類の1つである「腺腫」です。
この「腺腫」と呼ばれるものが、ポリープの中で比較的多いです。
見た目で明らかに大腸がんと解る場合には、正確にはポリープとは呼びません。
腺腫のうちにポリープをとってしまうことで、大腸がんを予防することができます。
主に要因となるのは、「加齢」「肥満」「高脂血症」
「糖尿病」「遺伝」「潰瘍性大腸炎など大腸の病気」です。
これらの要因があると、
ない場合に比べて大腸ポリープができる可能性が高くなります。
しかし、必ずできるわけでもなく、
これらの要因がなくとも大腸ポリープができることもあります。
また、煙草を吸う、お酒を飲むといった生活習慣も
大腸ポリープになりやすいといわれています。
大腸がんのリスクを下げる生活もポリープを作らないために必要です。
大腸がんのリスクを高める生活要因は、肉食傾向、
高カロリーな食事や肥満、お酒の飲みすぎ、喫煙などが指摘されています。
こうした要因からポリープを発症し、がんになるといわれています。
また、家族歴も指摘されており、
家族に大腸がんを患ったことのある人がいる場合は、より注意が必要です。
大腸ポリープは自覚症状が特にない場合がほとんどです。
健康診断で受けた便潜血検査などをきっかけに発見されることが多いです。
しかし、稀に症状がでることがあります。
1つ目は血便です。
大腸ポリープの多くは大腸の壁から飛び出たキノコのような形をしています。
便が通過する際にポリープと便がこすれます。
すると出血をすることがあり、便に血液が混じります。
ただし、血便は大腸ポリープがあると必ず現れる症状ではありません。
ポリープが大きい場合や、肛門近くに発生するときにみられる症状と考えられています。
2つ目は便秘や腹痛です。
ポリープが大きくなることで、腸内の流れを妨ぐようになります。
すると、便がスムーズに排出されなくなり、便秘の原因になります。
ポリープが大きくなり、何日も便が出なくなりひどい状態になると、
便が流れにくくなるだけではなく腸閉塞の状態になることがあります。
腸閉塞になると便秘の症状に加えて吐き気や腹痛、お腹の張り等の症状もあらわれます。
便潜血検査、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、注腸造影検査があります。
大腸ポリープを見つけるためのスクリーニング検査に使われます。
健康診断などで定期的に受けることが推奨されています。
便に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。
2日間の便を調べ、そのうち1日でも陽性であれば、
精密な診断のために内視鏡検査(大腸カメラを行います。
自覚症状のないポリープを見つけるのに役立つ検査です。
肛門からカメラのついた管を入れる検査です。
モニターを通じて、粘膜の細かな状態を見ることができるため、
病変を直接診られます。
ポリープの形や大きさはもちろん、色や表面の構造、
病変の深さがどのくらいかなどを判定することもできます。
また、検査と同時にポリープを切除することもできます。
内視鏡で治療できるレベルのポリープであった場合には、
そのまま切り取り、がんが疑われる場合は、組織を採取できます。
大腸ポリープがあるからといって、
必ず治療を受けなければいけないわけではありません。
大腸がんを含んでいたり、
大腸がんになる
可能性が高いポリープだと判断された場合には、治療がすすめられます。
大腸ポリープの治療方法は主に2つです。
1つは内視鏡を用いてポリープを切除する方法で、
もう1つは開腹手術で大腸を切除する方法です。
ほとんどの人が内視鏡治療によってポリープを切除できます。
そのため、身体への負担が小さい治療を受けることが可能です。
しかし、腫瘍が大腸の壁の奥深くまで入り込んでいる場合や、
患者様の既往歴などによっては、内視鏡治療が難しいこともあります。
そのときに、開腹する外科手術が行われます。
がん化の可能性が低い場合は、経過観察を行うことが多いです。
もし、ポリープが大きくなった場合は、内視鏡を用い切断します。