胃の粘膜層の一部が、こぶのように盛り上がっていることを、胃ポリープといいます。 症状がほとんどなく、バリウム検査や胃内視鏡検査のときなど、健診を受けて初めて見つかることが多いです。 胃のポリープには、過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、特殊なポリープとして腺腫性ポリープ、家族性大腸腺腫症などがあります。 最も多いのが過形成性ポリープで、がん化することは稀です。 しかし、腺腫性ポリープの場合、盛り上がっている部分の細胞は、正常な細胞とは少し違った形をしています。 そのため、癌細胞ではないものの、将来癌になりやすい性質を持つ細胞だといわれています。
主な原因は加齢やピロリ菌への感染、そして遺伝的な要素もあると考えられています。
しかし、原因不明のものも少なくありません。
過形成性ポリープはピロリ菌に感染しており、萎縮性胃炎のある胃に発生します。
ピロリ菌の除菌治療で、ポリープが縮小もしくは消失したというケースもあります。
胃底腺ポリープはピロリ菌に感染しておらず、きれいな胃に発生します。
胃食道逆流症などでプロトンポンプ阻害薬を服用するとポリープが大きくなったり、
数が増加するというケースがあります。
また、胃はデリケートな臓器です。
胃炎を起こしている人は胃ポリープになりやすいともいわれており、
炎症によってただれた粘膜が修復される過程で、
粘膜上皮が過剰につくられてポリープをつくることがあります。
ストレスをためないこと、規則正しい生活習慣をすること、
胃に強い刺激を与える食べ物を控えること、香辛料をたくさん使った料理や、
強いお酒などは控えるなどを意識しましょう。
また、食べ物はよく噛み、胃に負担をかけない食事の習慣も重要です。
自覚症状は一般的にはありません。
胃もたれや不快感、食欲不振などの症状があるケースもありますが、
原因の多くは同時に発症している慢性胃炎によるものです。
ポリープが大きくなることで、出血により貧血をおこすことがあります。
また、胃癌のリスクも高まります。
発生は30歳以上で加齢と共に増加する傾向にあります。
がん化することはまれです。
胃のどの部位にもみられ、大小さまざまです。
単発もあれば複数みられることもあります。
通常直径2~3㎝どまりで、2㎝を超えるとがんの可能性が高くなり、
切除しないといけない場合もあります。
赤く、表面にイチゴのような顆粒状の凹凸があります。
出血やびらん(ただれている状態)も多くみうけられます。
胃底腺の粘膜に発生します。
胃底腺の粘膜は萎縮しておらず、状態が良好なことが特徴です。
女性に多いです。
半球状のポリープで、表面は滑らかです。
大きさは比較的小さい傾向にあり、5㎜以下がほとんどで、多発します。
色は、周囲の粘膜と同じような色調です。
高齢者で多く、年齢と共に増加する傾向にあります。
胃がんの前段階とも言われているポリープです。
腸上皮化生(ピロリ菌感染などにより胃粘膜上皮がびらんと
再生を繰り返すうちに腸管粘膜上皮の形態に変化した状態)をもつ、
かなり萎縮した粘膜にみられます。
男性に多く男女比は4:1です。
灰白色で整った凹凸があり、1㎝以上になる事が多いです。
形はドーム型や平たいもの、花壇状など様々です。
平坦型ポリープの場合、がん化率が高いと言われています。
ポリープの有無を確認するために行われる検査は
主に2種類で、「バリウム検査」と「胃の内視鏡検査」です。
バリウム検査は、粘膜の状態やポリープ表面の凹凸の状態を観察します。
胃の内視鏡検査は、ポリープの観察だけでなく、
状況によって細胞組織を採取して、病理検査をすることができます。
バリウム検査ではポリープがある事は判別出来ても、
それが良性か悪性かまではわかりません。
しかし、胃内視鏡検査では見た目や大きさ、
そして組織の検査を行う事で良性か悪性かまで識別する事が出来ます。
胃のポリープは、急に大きくなることもあります。
一度良性だと診断されても、定期的に検査をすることが大切です。
組織の検査を行うことで、悪性になっていないかなどを確認した方が良いです。
過形成性ポリープの場合、小さなものは放置してもよいです。
しかし、年1回の経過観察をします。
2センチ以上の大きいものは内視鏡的治療により切除します。
胃底腺ポリープは放置しても一般的には心配はないといわれています。
腺腫性ポリープも小さなものであれば、半年~1年に1回の検査で経過観察します。
しかし、2㎝以上の大きなものや、がんとの識別がはっきりしないものは、
切除治療が可能な医療機関へ紹介することもあります。