植物の花粉が原因で「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」「目のかゆみ」「目の充血」「涙」といったアレルギー反応を起こしている状態を花粉症といいます。
この他、「体がだるい」「熱っぽい」「いらいらする」「皮膚のかゆみ」といった症状を伴うこともあります。
花粉症はアレルギー性鼻炎のひとつで、ダニやハウスダストという通念性のものと比較して、季節性アレルギー性鼻炎とも呼びます。
現在日本人のおよそ4人に1人が花粉症だといわれています。
花粉症患者の約7割にものぼるといわれるほど、日本ではスギを原因とする人が多いです。
スギに反応する人はヒノキ科の植物にも反応することが多く、
スギやヒノキは冬から春にかけてピークを迎えます。
花粉症は小麦アレルギーなどと同じ、アレルギー性疾患です。
人間には外部から体内に侵入した異物から身を守り排除しようとする働きが備わっています。
花粉症の場合は、体の免疫システムが花粉を異物と誤認してしまうことで起こります。
排除機能が働くことで、異物を取り除こうとする体の反応で、くしゃみなどの様々な症状が出ます。
去年までは発症していなかったという人もいます。
花粉を異物と認識することで、過剰に免疫機能が働いて、体内に抗体を作ります。
この抗体は花粉に接触するたびに、体に蓄積されていきます。
この蓄積がひとりひとりの許容量を越えた時に、アレルギー反応を起こしてしまうのです。
また、親のアレルギー体質を受け継ぐという遺伝的な側面もあるといわれています。
鼻から吸い込まれた花粉が鼻粘膜でアレルギー反応を起すことで
「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」といった症状がおこります。
くしゃみは風邪の症状とも似ていますので、他の症状で風邪と区別しましょう。
風邪では、ねばっとした黄色や黄緑がかった鼻水が出て、風邪の回復とともに1週間程度で治まってきます。
花粉症では、さらさらした透明で水のような鼻水が出て、花粉が飛んでいる間は続きます。
また、目のかゆみや結膜の充血、涙が止まらないといった症状や、喉や皮膚のかゆみなどが出る人もいます。
場合によっては眠気、めまい、頭痛、倦怠感、集中力の低下、イライラ感などといった日常生活に大きく支障をきたすような症状が出る人もいます。
花粉症を起こしている原因植物も、症状の出方も人によってさまざまです。
そのため、まずは原因を探りましょう。
代表的な検査が血液検査です。
血液の中に花粉に反応する抗体があるか否かなどを調べます。
食品や動物など、ほかにアレルギーがないかということも同時に調べることが可能です。
花粉症の治療には、症状を抑える「対症療法」と、完全に治すための「根治療法」があります。
対症療法には、薬とレーザー手術があります。
薬剤治療のベースになるのが、「抗ヒスタミン薬」です。
これまでは「花粉症の薬は眠くなる」と言われがちでした。
近年では、眠気などの副作用が軽減された「第2世代抗ヒスタミン薬」が登場しました。
他には「抗ロイコトリエン薬」を使用したり、
くしゃみや鼻水など、
鼻の症状が強いときには「鼻噴霧用ステロイド薬」を使ったりすることもあります。
この薬の登場により花粉症治療は大きく進化しました。
目の症状に困っている場合は、アレルギー症状を抑える点眼薬も使われます。
レーザー手術は、鼻粘膜の表面に麻酔をかけ、レーザーで粘膜を焼き、アレルギー反応を抑えます。
薬を使った治療で十分な効果が得られない場合に検討されます。
特に鼻づまりの症状が強い場合、レーザー手術を行うことがあります。
完全に花粉症を治すとなると、根治療法が検討されます。
現在、根治療法として期待されているのが
「アレルゲン免疫療法」です。
花粉に反応する体質自体を変えていこうという考え方です。
花粉症の原因となっているアレルゲンを少ない量から体に取り入れます。
そして、徐々に増やしていき、免疫を獲得しようという治療法です。
これまでは注射で行われていましたが、最近では治療薬を舌の下に置き、
定められた時間保持したあと飲み込むという「舌下免疫療法」が注目されています。
注射のように痛みもなく、通院は1か月に1回ほどですみます。
即効性がなく、治療には2~3年かかりますが、花粉症が治り得る唯一の治療法と言われています。
花粉症は日頃から、花粉との接触をできるだけ避け、予防するということがとても大切で、
これは、抗原回避ともいい、アレルギー性疾患の治療によく用いられる言葉です。
花粉が多く飛んでいるシーズンは、外出時には眼鏡やマスク、帽子を身につけましょう。
上着は表面がつるつるした素材の物を選び、帰宅したら玄関で花粉をよくはらい、
家の中に花粉を出来る限り持ち込まないようにすることが大切です。
また、外出から帰宅したら、洗顔やうがい、鼻をかむなども重要になってきます。