頭痛とは、頭頚部に痛みが生じること全般を総称した表現です。 頭痛に悩む人のほとんどが医療機関を受診することなく、市販薬で対処しているケースが多いです。 しかし、突然の激しい頭痛の背景にはくも膜下出血があったり、 だんだんと強くなる頭痛には脳腫瘍が隠れていたりと、緊急性の高い病気が潜んでいることもあるので、 いつもと違う頭痛の場合は急いで医療機関を受診してください。 頭痛には大きくわけると2つに分類できます。
特に脳や体に病気がないのに頭痛が起き、
緊張型頭痛や片頭痛、群発頭痛などが代表的です。
頭部への外傷や脳血管障害、感染症やその他の病気などを原因とし頭痛が起こっている状態です。
放置してしまうと命にかかわる可能性が高いのが二次性頭痛です。
それぞれの頭痛の種類によって原因が変わってきます。
片頭痛は女性に多く見られます。
疲労やストレスなどをきっかけにして、
痛みを感じる神経である三叉神経が刺激されて、痛み物質が放出されます。
これが頭の血管に急激な拡張をもたらし、
脳の血流が多くなりすぎるために頭痛が引き起こされると考えられています。
メカニズムの解明はまだはっきりとはされていませんが、
女性ホルモンとの関与も示唆されています。
緊張型頭痛も女性に多く見られます。
筋肉の緊張やストレスによって起こるといわれています。
特に、前かがみやうつむくという、同一の姿勢を長時間維持することは、
大きな原因となりえます。
実際、デスクワークやドライバーなど長時間同じ姿勢で仕事を続ける職業に多いとされています。
主に精神的や身体的ストレスにより発生することから「ストレス頭痛」とも呼ばれています。
群発頭痛は青年~中年男性に多く見られ、
はっきりとした発症メカニズムはわかっていませんが、
脳血管の拡張が関わっているのではといわれています。
飲酒が原因のひとつであると考えられています。
脳の病気や、外傷、感染症、自己免疫疾患、薬物乱用頭痛など、
その他の原因疾患が特定でき、その疾患が原因で起こります。
二次性頭痛は命に関わるものがあり、特に気を付けるべきなのが脳の病気です。
脳の病気によって起こる頭痛で代表的なものは、
くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍などがあります。
頭痛に加えて、体の片側や手足などに力が入らない、痺れがある、
呂律が回らない、
めまい、吐き気や嘔吐があるなど、他の症状があった場合は、
脳疾患が隠れている可能性があります。
片頭痛は頭の左右のどちらか片方がズキンズキンと脈打つような痛みを感じます。
1週間~1か月に1・2回のペースで痛みがあらわれます。
1回の頭痛は4~72時間ほど継続し、自然と回復します。
前かがみの姿勢や階段の昇降といった日常的な動作で頭痛が増強するという特徴があります。
吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
片頭痛といいますが、両側が痛い人も存在します。
閃輝性暗点といい、頭痛が始まる前に予兆を感じる人もいます。
ギザギザの光やオーロラ、モザイクのような模様が20~30分ほど見えて、視界が悪くなります。
緊張型頭痛は頭痛の中で3~7割がこのタイプといわれ、最も多いとされています。
頭全体あるいは後頭部から首にかけて、重い感じや、締めつけられるように鈍く痛みます。
人によっては、肩こりや耳鳴り、
目の疲れや目の奥の痛み、めまいなどを伴うこともあります。
頭痛の強さは我慢できる程度で、寝込むほどのことはないですが、
慢性的に起こり、場合によっては毎日痛みが続くこともあり、生活の質を大きく低下させてしまいます。
群発頭痛は、一次性頭痛の中で一番痛い頭痛といえます。
多くは片側のみの痛みです。
前頭部から片方の目の奥がえぐられるような激しい痛みを感じます。
痛みを感じている側と同じ目は涙が出たり充血したりといった症状が出ます。
また、鼻水が出たり鼻が詰まるという症状もあらわれます。
半年から2~3年ごとに起こり、一度起こると1か月ほどしばらく毎日続きます。
痛みは数十分から数時間続き、平均は1時間ほどです。
1日に何度も頭痛を起こすこともあり、症状は夜中や明け方に起こりやすいです。
命に関わる頭痛として代表的なものがくも膜下出血です。
「これまで経験したことのない頭痛」「後頭部をハンマーで殴られたような痛み」などと表現されます。
我慢できない強烈な痛みが起こり、吐き気や嘔吐、意識障害をともなうこともあります。
脳出血は、脳内の細い血管が破れて出血している状態です。
頭痛が起きて徐々に痛みが強くなっていき、
言葉が出にくい、
手足などの痺れや動かしにくさ、吐き気、めまいなどを起こします。
脳腫瘍は脳に腫瘍ができている状態です。
数週間から数ヶ月かけて腫瘍が大きくなっていくにつれて、頭痛も激しくなっていきます。
腫瘍ができた場所によっては手足の麻痺、片目が見えにくいなどの視力障害、
言葉が出にくい、言われていることが理解できないなどの症状があらわれることもあります。
二次性頭痛はこちらに挙げた脳に関わる病気以外でも起こりますが、
原因を対処できれば治まるため、原因を見つけ出すことが重要になってきます。
どのようなタイミングでどのような痛みを感じるかを、
問診時に詳しく伝えることが大切で、
二次性頭痛のように、命に関わる重篤な疾患が潜んでいる可能性もあるため、
頭部のCT検査やMRIを用いた画像診断で、頭頚部に病変がないか確認します。
また、必要に応じて、血液検査や脳波検査なども実施します。
その他、頭痛以外の症状がないか、痛みの強さなど、
患者様からの情報はとても重要なものとなります。
二次性頭痛の可能性を除外したのち、頭痛の症状や持続時間、
その他の症状などから一次性頭痛の診断を行います。
片頭痛では、頭痛が起こったタイミングで専用の薬や消炎鎮痛薬を使用し、
痛みを楽にすることができます。
頭痛頻度が多いときには、起こりにくくする予防薬を使用することもあります。
緊張型頭痛の治療は、薬も使用しますが、
薬に頼るよりも生活習慣の改善を意識することが大切です。
悪い姿勢や枕の見直しをして、首や肩の筋肉に負担がかからないように正しい姿勢の維持をしたり、
ストレッチや入浴を行い、体をほぐしたりすることも重要です。
運動を生活の中に取り入れて、首や肩の筋肉の強化をすることもおすすめです。
薬を使用する場合は、痛みを止める消炎鎮痛薬や漢方薬、
筋肉のこりをほぐすための筋弛緩薬が用いられます。
緊張型頭痛の原因として、不安やうつ状態がある場合は、
抗不安薬や抗うつ薬などが用いられることもあります。
群発頭痛には、痛みが起こった際に15分程度の酸素吸入や、
血管を収縮させる注射などが有効とされています。
原因となっている病気の治療が最優先です。
原因疾患の治療が進むと、頭痛も改善します。
対症療法として、消炎鎮痛薬を使うこともあります。
しかし、効果は一時的なもので根本の原因が解決しない限り頭痛は治まりません。