B型肝炎とは、肝臓の感染症です。 決して病気ではなく、B型肝炎ウィルス(HBV)に感染することで発症する感染症ですが、 遺伝子の違いにより、いくつかのタイプに分類されます。 遺伝子型A、B、Cの3種類に分類され、それぞれ性質が異なります。 B型、C型に関しては無自覚のケースもあれば、 一過性のケースも珍しくないのですがA型に関しては慢性化することで、 肝硬変、肝がんへと進行する可能性があります。
B型肝炎は感染症になりますので、原因は感染です。
決して頭痛や発熱のように、
自身の体調の変化から発症する症状ではなく、
他者からの感染です。
血液や体液によって感染しますので、
輸血や注射器を使いまわすことで感染することもあれば、
出産前後にて母親から胎児に出産するケース、
あるいは感染者との性行為等によって感染します。
但し、母子感染に関しては1986年、国が母子感染防止対策を開始しました。
注射器に関しても同様の対策が取られていることから、
近年は感染の原因の多くがB型肝炎感染者との性行為によるものです。
稀にですが、傷口から偶然感染してしまうケースもあるのですが、
割合としては感染者との性行為が圧倒的に多いです。
B型肝炎は全身の倦怠感、食欲の低下、吐き気といった症状が確認されています。
また、黄疸も確認されていますが、いずれにせよ感染したとしても
一過性のもので回復するケースが多いですし、感染したものの、無症状の患者も多いです。
そのため、B型肝炎は自覚が難しいです。
風邪、頭痛といった体調不良はすぐにでも自覚が可能です。
しかしB型肝炎はB型肝炎特有の自覚症状がありません。
食欲低下や倦怠感といったB型肝炎の症状は、
決してB型肝炎だけのものではありません。
寝不足や体調不良でも起きるものなので、これらの症状を自覚し、
「B型肝炎」だと気付くのは現実的に難しいです。
性行為による感染が多いのもそのためです。
B型肝炎だと自覚していないことから、性行為を行い、
他人を感染させてしまう事例が多々報告されています。
一方で、割合にすれば1%から2%と少数ではありますが、
劇症肝炎に進行するケースがあります。
劇症肝炎の症状も倦怠感や食欲の低下がみられるのですが、
意識障害も伴います。
また、死亡率の高い症状である点でB型肝炎が懸念されている理由の一つとなっています。
基本的には血液検査にてB型肝炎を診断します。
まずは、血液検査にて肝機能の異常をチェックします。
ASTやALTにて肝機能に異常があることが判明すると、
血液中の抗原抗体検査を行います。
これにより、B型肝炎かが分かります。
ちなみに抗原抗体検査は感染しているか・していないかだけではなく、
感染時期や過去の感染歴も把握可能です。
症状だけを見れば決して重い症状ではないB型肝炎は、
食事が摂取できない場合には点滴にて栄養補給を行うケースがあるのですが、
無症状の患者の場合、特に治療はありません。
ただし、劇症肝炎に進行する可能性が見られる場合には
抗ウィルス薬を用いた治療が行われることもあります。
また、劇症化してしまった場合には体外循環装置による血漿交換治療、
さらには注射や内服薬にてウィルスの繁殖を抑えます。
ウィルスへの効果だけではなく、肝臓を保護する薬を用いることもあるなど、
治療体制は確立されているのですが、
B型肝炎ウィルスを完全に除去することはできませんので、
あくまでも悪化、あるいは他の重篤な症状への進行を抑える治療を行います。
B型肝炎は無症状の患者様もいますが、
悪化させてしまうケースもありますので、
まずはB型肝炎を自覚することが大切です。
また、他者に感染させないよう努めることも大切です。
日常生活の中で感染させてしまうケースはそうそうありませんが、
パートナーがいる場合には、性行為の際には注意が必要です。
また、輸血はできません。
輸血は社会的にとても素晴らしい行為ではありますが、
B型肝炎は血液から感染します。
先にもお伝えしましたが、B型肝炎ウィルスは完全な除去が難しいことから、
症状が落ち着いている状態ではあったとしても、
微量のウィルスが見つかるリスクもあることから、輸血には使えません。
B型肝炎は感染症です。
他者から移されない限りは、基本的には発症しませんので、
感染症予防対策が大切です。
例えば、性行為の際にはコンドームの着用の徹底、
ピアスの穴あけは自ら行うのではなく、医療機関にて行うなど、
予防策を徹底することでB型肝炎感染リスクは低下します。
一方で、B型肝炎は自覚が難しい症状なので、
健康診断等で肝臓の不調、あるいは肝機能の異常が確認された場合には、
B型肝炎ではないかを確認するためにも、医療機関での検査を推奨します。
ちなみに2016年10月から、新生児はB型肝炎ワクチンの定期接種が無料となりました。