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CPTSD(複雑性PTSD)

CPTSD(Complex PTSD=複雑性PTSD)とは

CPTSD(複雑性PTSD)とは、心の傷が折り重なって生じた影響のことをいいます。
PTSDも心の傷反応ですが、心の傷を負ったエピソードが『あの時』として特定できます。
PTSDの原因となるエピソードは、死ぬか死にそうになるか、性暴力、 あるいは消防隊員が災害現場で凄惨な光景にさらされるなど、
その内容が細かく規定されています。それに対してCPTSDは特定のエピソードは規定されずに、 例えば父親の母親に対するDVが日常であったとか、本人が親から虐待や暴言を受けていたなど、 幾つものダメージが積み重なった結果、生じる反応です。
CPTSDは比較的新しい診断名であり、DSM-5では明確には用いられておらず、 広く普及している用語ではありません。ICD-11ではCPTSDとPTSDは別の障害として区別しています。

CPTSD

原因

単回の心の傷反応であるPTSDに対し、
心の傷を繰り返し持続的に受け続けた結果、発症するのがCPTSDです。
最もよくみかけるCPTSDは、幼小児期に親から心のダメージを受けて育った人の場合です。
暴力や暴言、性的な虐待、世話をしないネグレクト、
親のメンタル不調などはCPTSDの原因になりますが、例えば幼少期に両親が離婚した為、
その前後で親の気持ちに余裕がなかった、あるいは、
親は全身全霊で子の世話をしていたものの、塾やお稽古事に無理やり通わせた結果、
子供の気持ちはほとんど無視されていた、といった経緯もCPTSDの原因になり得ます。
そう考えると、非常に一般的かつ広範にCPTSDが発生しうることがおわかりだと思います。

症状

再体験症状

「フラッシュバック」と呼ばれる現象です。
何かのきっかけにより、思い出したくないのに、辛い記憶が思い出されます。
情景が動画のように思い出される人もいますが、情景は浮かばなくても、
辛い体験をしていたときの感情や気分だけが再生されることもあります。
動悸や胸の圧迫感、息苦しさといった身体の反応を伴い、
意識が狭くなって、もうダメだ!とパニックのようになり、
自分を否定する考えに吞み込まれるような感覚があり、
気分がどーんと落ちるような体験がフラッシュバックです。
フラッシュバックを日常的に体験している人の多くが、
それがフラッシュバックであることを気づいておらず、
突然具合悪くなることがしばしばある、としか認識していないのです。

回避・麻痺症状

辛い体験の自動再生がフラッシュバックだとすれば、
自動再生プログラムのスイッチとなるのがトリガー(引き金)です。
トリガーは、辛い出来事を思い起こさせるような場面や状況のこともありますが、
自分を責める考えだったり、夢の中の出来事だったり、
と思いがけないことがトリガーになることも多く、
そのような場合は何がトリガーなのか気づくことも難しいです。
それでも人は本能的にトリガーを避けようとします。
あるいは辛い出来事があったこと自体を、記憶から消してしまったり、
あたかも他人事かのように淡々と対応する反応は、
心を飛ばすことで辛い現実から守ろうとする動きです。

過覚醒症状

些細なことでブチ切れやすくなります。
無茶な行為や自傷行為をしたり、ビクビクして驚き易く、
集中力が低下して、夜中に悪夢で飛び起きる症状です。

認知・気分の陰性変化

自分には価値がない、自分がいない方がいいんだ、何もかも自分が悪い、
独りぼっちだ、誰もわかってくれない、誰も愛してくれない、
何にも興味がもてず何も楽しいことがない、といった『確信・信念』が
トラウマの影響として自分に沁みついています。

上記はCPTSDとPTSDに共通する診断基準ですが、CPTSDに特有の診断基準は下記です。

感情の波が激しい:
 ブチ切れ、自傷行為、自殺企図、衝動性の亢進といった交感神経優位の外に向かう要素と、
絶望感、孤独感、抑うつといった副交感神経系の内に向かう要素を、振り子のように振り続けます。

否定的な自己認識:
いつも否定的な自己像に苦しめらています。それに伴い世界観や未来も否定的となります。
恥、自責、自己否定から他者と親密な関係をもつことができず、孤独感に苛まれます。
自分の価値が感じられず、絶望し、世界や他者も信用できなくなります。
人間関係を保つことが困難になる:
上記の結果、人と信頼関係を築くことが難しくなり、人間関係が安定せず、
依存したかと思うと閉ざしたり、断ち切ったりを繰り返します。
満たされた人間関係をもつことが出来ないことは、本人と周囲を深く苦しめます。

診断

他疾患と誤診されることの多いCPTSD

CPTSDは疾患名というよりも、その状態に至った機序
(メカニズム、流れ、原因)を表現する言葉です。
下記の状態や病名が、実はCPTSDによるものであることが多いです。

境界性パーソナリティをはじめとする各種パーソナリティ障害
双極性障害
ADHD
学習障害
うつ病
不安障害
アルコール依存
各種依存
仕事が続かない
高血圧
過食
不眠
消化不良

面接

CPTSDの診断は高度な専門性が必要です。
なかでも医師との面接による診断が最も重要です。
上記のように多彩な症状をみせるCPTSDの診断の鍵は、
子供時代にどんな辛い経験があったのか、誰が助けてくれたのか、助けてくれなかったのか、
虐待どころか一見すると普通にすら見える親(大人)との関係の中で、
幼な心がどうダメージを受けていたのか、
関連する症状を視野にいれて判断することになります。
経験を積んだ医師の技術と、心を開いて協力する患者さんとの協働により、
患者さんが抱える辛さの本質に迫ることが出来るのです。

治療

CPTSDの治療は、簡単ではありません。何かひとつをすればよいものではありません。
色々な次元で様々なことに取り組み続ける結果、確実に患者さんは前進します。
それは治療というよりも、癒しの過程であり、人としての成長といってよいでしょう。
結論として、CPTSDは治ります。ただし、
御本人が自分の状態を自覚し、自らを省みて自分を深くみつめ、
自己の成長に取り組み続けるならば、という前提条件が必須です。
これらの過程を患者さんが単独で成し遂げることは想像できません。
CPTSDは人間関係における心の傷ですから、人間関係を通じて癒してゆくものです。
下記に列挙した全てを、バランスよく進めてゆくことが、CPTSDの治療になります。
当然、時間がかかりますし、どこかで完了するというものでもありません。
また保険診療の診察室だけで出来るものではありません。
信愛クリニックでは、1月に開院する分院の大船心療内科と連携しつつ、下記の研究を進めています。

安全基地の確立

まずは、等身大の自分を曝け出して良いのだ、
と安心できる『安全基地』としての医療の場が必要です。
こんな感情も吐き出して良いのだ、
こんな気持ちを言葉にして伝えても大丈夫なのだ、
何があってもジャッジされない、
自分の存在を支え続けてくれる場が、癒しに必要です。

感情ワーク

人は気づかないうちに、感情を麻痺させています。
CPTSDの患者さんは、感情爆発が激しい一方で、
自分の心の内側にどんな感情があるのか、把握が難しいことが多いのです。
自分が受けてきた無数の心の傷に対して、悲しみと怒りを身体ごと表現し、
気持ちを言語化して語り、それを受け止めてもらいつつ、
愛されなかった現実をじっくりと感じてゆく過程が、人をトラウマから解放します。

インナーチャイルドケア

インナーチャイルドが癒しの鍵です。
インナーチャイルドとは、誰の心の中にもいる、『内なる子供』です。
感情や、強い想いのほとんどをインナーチャイルドが担っているものです。
CPTSDではインナーチャイルドが傷ついているので、
インナーチャイルドをじっくりと、繊細に、
継続的にケアしてゆくことが治療の根幹を成します。

親ワーク

親から受けた心の傷が大多数を占めるCPTSDの治療では、
親との関係を深く見直してゆく過程が欠かせません。
ときには現在の親と向き合って、
これまでになかった会話や関係性の構築に取り組むこともあります。

EMDR

現代精神医療で確立されたトラウマ治療技法です。
技術を要しますが、熟練した医師や心理士が行った場合、
短時間でフラッシュバックが消失するなど、
顕著な効果を生むことも可能です。
ただし万能のツールでは決してなく、
繊細な準備と治療者との信頼関係が必須になります。
現在の日本では高度なEMDRを提供している施設は少ないのが現状です。

精神療法

認知行動療法を中心とした精神療法で、
まずはCPTSDの原因となった事象の整理から始まり、
徐々に現実と向き合い、心的外傷を癒すものです。
長期的な治療になります。

EMDR

Eye Movement Desensitization and Reprocessingの頭文字で、
適応的情報処理に基いた、エビデンスのある心理療法です。
眼球運動を行うことで、脳に対して直接的な刺激を送ります。
結果、脳本来の情報処理能力を活性化させることで、心的外傷を癒すものです。
EMDRはあくまでも患者の脳が本来持っている力を引き出すためのものなので、
マインドコントロールのリスクが低い点や、ストレスが少ない点が特徴です。

マインドフルネス

自分の心理状態、感情、体性感覚を、
いまここで深く捉え、
在るがままにジャッジすることなく受け入れて、
健全な自己愛を育成してゆく過程をマインドフルネスアプローチといいます。
解離症状をもつ患者さんに特に有用であり、CPTSDの治療に欠かせないものです。
様々な治療が米国を中心に開発されてきましたが、
日本ではその導入と発達は遅れています。
自律神経を整え、瞑想技術を習得するだけでなく、
今ここの気づきと意識を開発することは、メンタルケアに欠かせません。

セルフコンパッション

自分を深く知り、ネガティブな側面も含めて受け入れ、
在りのままの自分を受容することを目指します。
意識を自分に向けるだけでなく、他者を人として観る訓練を続け、
人とつながる感覚を養います。
自己否定を乗り越え、自分に対して真に親切に温かく接することを目指します。

認知行動療法

有名な認知行動療法(CBT)ですが、やみくもに実施しても効果につながりません。
CPTSDの場合は、根強い自己否定を、じっくりと確実にCBTで抑えこみながら、
その隙に感情ワークに取り組む、といった立体的な用法が必要です。
他の治療法との組み合わせが効果的なのです。

感情調整と対人コミュニケーション

表現とコミュニケーションを磨き、問題を乗り越え、
人との間に信頼を積み上げる言動とは?を探求し続けます。

栄養療法

潜在的な鉄欠乏は若い女性の7割以上にみられます。
鉄欠乏は不安を増悪し、意欲と集中力を削ぎます。
亜鉛欠乏は、気分を落ち込ませ、活力を奪います。
ビタミン欠乏はメンタルコンディションを大きく阻害します。
そして反応性の低血糖は想像以上に私達の心理に影響を及ぼしています。
食事栄養を適切に摂り、サプリメントを個別に適切に補給し、腸内環境を整え、
個々の体質にあった運動を継続し、ボディーワークを取り入れます。

投薬

投薬治療も行いますが、患者さんのコンディションを最低限整えることが目的です。
治療の基本は上述した各種療法の統合的実施です。
CPTSDは通院して薬をもらえばよいものではなく、
患者さんと医療者がチームをつくって長期的かつ精力的な取り組みを続けることになります。

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