パーソナリティー障害とは認知や価値観、感情等、自身の判断が周囲とは異なることに苦しむ障害です。
人間は人それぞれの考え方を持っている一方で、ある程度似た部分があるのも事実です。
しかし、違う考えばかりをしてしまい、かつそのような認知・判断をする自分自身に苦しめられたり、
社会活動に支障をきたす障害を指します。
また、パーソナリティー障害は他の精神疾患を引き起こすきっかけになりやすいです。
パーソナリティー障害だけで終わるのではなく、その他の精神疾患を誘引したり、
悪影響を及ぼすことになるなど、複雑性も特徴の一つです。
パーソナリティー障害の原因は明確な形で解明されていません。
成長・発達段階にある時期の苦しい体験や、成長環境に原因があるのではとも囁かれています。
パーソナリティー障害は3グループ・10種類に分類できます。
そのため、症状も種類によって微妙に異なります。
他者に対し、根拠のない妄想から警戒心を持ってしまう症状です。
不信感や疑惑など、常に他者に対して持つようになるのですが、
決して明確な敵意を向けられたり、過失を受けた訳ではなく、
あくまでも妄想から生まれたものです。
結果、
正常な人間関係を築くことができません。
常に妄想を根拠に、「何かしてくるのではないか」という警戒心・不安・恐怖など、
対人関係に支障をきたすネガティブな感情に支配されてしまいます。
他者との関係に関心を持たず、社会的関係から距離を取ったり、
あるいは感情表現が少ないといった点が特徴です。
そのため、他者から孤立しやすいです。
他人と仲良くしたい、近付きたいという欲求が無い、
もしくは低いので周囲もコミュニケーションを取ることが難しいです。
これは好意的な感情だけではなく、悪意を向けられた際も同様です。
挑発されたり怒られても感情を示しません。
自身が他者とは異なる存在だと感じていることから、
他者との交流を好まないだけではなく、
他者との関係に居心地の悪さを感じることもあります。
また、思考・認知等において歪みがみられることから、
奇妙な行動を取るケースもあります。
少々現実離れした考えを持つこともみられるので、
他者とのコミュニケーションが円滑に進みません。
自分自身が求めることのみを追求するので、
自分の行動によって他人がどうなるのかを考えることもなければ、
社会的な損失や良心の呵責・罪悪感もなく、
自分が良いと思ったことのみを行うタイプのパーソナリティー障害です。
また、その際には自身を正当化し、決して自分が悪いとは考えませんし、
自分の行動で何らかの被害が出ることに対しても無頓着です。
孤独を恐れるあまり、他人からの拒絶に対して強い危機感を覚えています。
そのため、見捨てられそうになると極度の怒りを発します。
相手が少し遅刻したり、大切な用事が入ってしまったので自分との約束をキャンセルすると、
見捨てられたとの思いから、極度の怒りを発します。
但し、自分自身が人から必要とされていると実感できている時には安定しています。
注目されることを好みます。
逆に、注目されていない状況に対して抑うつ状態になってしまうこともあります。
注目を集めるためであれば、多少奇抜な格好・言動を取ることもありますし、
注目を集めていない時には、注目を集めている人間に対して挑発的な交流を見せたりすることもあります。
自分自身の能力を過大評価する傾向がみられるなど、
自分自身を特別だと思っている一方で、他者を低く評価します。
自分自身を大きく見せたがりますので、
実績等を大きく誇張して吹聴するケースもある一方で、
他者からの批判を恐れています。
敗北感や恥辱感に対して敏感なことから、
失敗する可能性のあることは避ける傾向にあります。
自分自身が拒絶、批判、紛糾されることを極端に恐れることから、
それらの可能性があることに対して回避しようとする傾向がみられます。
また、拒絶されることに対して極度に恐れていますので、
拒絶されるようなシチュエーションそのものを回避します。
例えば、出世することで同僚から疎まれるくらいであれば出世を回避しますし、
会議で他の人から何か意見を言われるようであれば会議そのものを回避します。
他人に自分の面倒をみてもらおうとするために、
服従することさえ辞さないパーソナリティー障害です。
そのため、服従性が強いです。
世話や支援を受けるためには自分自身の尊厳など気にしません。
面倒をみてもらえる相手に対して、必要以上にへりくだるようになります。
自分の思い通りにいくよう、
いわば完全主義ともいうべきこだわりを持つパーソナリティー障害です。
そのため、細かい部分にまでこだわったり、
こだわりのあるもの以外が疎かになってしまうこともあります。
例えば、仕事に対してこだわるあまり、
プライベートが疎かになって友人からの連絡を無視したりなどです。
パーソナリティー障害の検査はヒアリングやそれまでの行動等から判断されます。
治療に関しては、治療目標を設定し、
それぞれのパーソナリティー障害に合わせた心理療法や薬物療法により改善を促します。