てんかんとはいわゆる「てんかん発作」を起こしてしまう症状です。 一過性のものではありますが、いつ起きるか分からない点から、日常生活のふとした時に発作を起こしてしまうことで二次的な被害を受けるケースもあります。 例えば、運転中に発作を起こして交通事故を招いたり、仕事中に発作を起こして仕事に支障をきたしたり等、いつ起きるか分からない発作により、様々なことが考えらえる症状です。
てんかんは二種類あると考えらえており、それぞれ原因が異なります。
脳に関する何らかの症状を受けた結果、
てんかんになる「症候性てんかん」の場合、脳への疾患により、
脳が傷ついてしまうことで脳機能がしばし異常活動を起こし、
その反動で発作が起きてしまうものです。
例えば、脳出血や脳梗塞、アルツハイマー病といった症状が
これに該当するのですが、出生時に脳が傷つくことでも発症するケースがあります。
一方、突発性てんかんに関しては原因が定かではありません。
生まれつきの脳の特徴・性質によるものとされているのですが、
明確な素因を見つけることができません。
突発性てんかんでも症候性てんかんでも、基本的な症状は同じです。
当初から脳全体が興奮状態となることで起きる全般発作、
脳の一部から興奮が始まる部分発作の二種類となっています。
全般発作は意識を失うこともあります。
全身のけいれん、動作が止まる、周囲の状況を
把握できなくなるといった症状が見受けられます。
部分発作の場合、意識があるケースもありますが、
全体発作同様、意識を失うケースもあります。
他にもミオクロニー発作、自動症が見受けられるケースもあります。
また、いずれの発作もいつ起きるか分からない点が特徴です。
そのため、発作症状はもちろんですが、二次的な被害も懸念されます。
急に倒れ込むことで傷を負うケースや冒頭でもお伝えしたように
運転中に発作を起こしてしまうと、生命の危機に瀕してしまうこともあるでしょう。
発作そのものも患者様にとって大きな負担となるのですが、
発作に伴って想定されるリスクもまた、てんかんで懸念される部分です。
てんかんの検査は、問診から行います。
これまで発作が起きた時の状況、時間、頻度等や、
病歴のヒアリング、
さらには脳波検査やCT、MRI等の画像検査等から、
場合によっては血液検査や尿検査等を行い総合的に判断します。
状況によっては問診だけでも判断できますが、
問診だけでは確定が難しい場合、検査を行うことでてんかんだと診断します。
また、てんかんの特性上、検査や診断中に発作を起こす可能性もあることから、
スマートフォン等で撮影しながら検査・診断を行うケースがあります。
患者のプライバシーに配慮しつつ、
もしもですが記録中に発作を起こすようなことがあれば、
医師がすぐにケアできると共に、
症状を目の当たりにすることで治療の確度も高まります。
てんかんの治療のベースとなるのは抗てんかん薬です。
一方で、てんかんは患者によって異なる症状であることから、
患者の様子・症状を見ながらの治療が大前提になります。
抗てんかん薬と共に、他の薬を組み合わせての治療となりますが、
組み合わせる薬は患者の様子・状態によって変わります。
また、投薬治療だけでは発作が抑制されない場合、
食事療法、あるいは脳の発作部位を切除する外科的手術が行われることもあります。
発作が起きないよう、ストレスの軽減・緩和、
睡眠の確保などライフスタイルを指導するケースもあるなど、
てんかんの治療は多岐に及ぶのですが、
いずれの治療も長期的治療が前提となります。
ちなみに、てんかんは不治の病だと思われているのですが
治療によって発作がみられなくなる患者もいます。
日本てんかん協会の統計によると、突発性てんかんに関しては
100%の患者が治療開始から2年以内に発作が止まったとの報告もあります。
但し、症候性てんかんに関しては
およそ2割の患者のみにとどまっているとのことですが、
これらの数字からも、決しててんかんが不治の病ではないことが
分かっていただけるのではないでしょうか。
てんかんの再発防止のためには、服薬の順守です。
投薬によって発作が起きなくなっていることで、
患者の自己判断で投薬を中止してしまうと、
発作が再発してしまう可能性が高まります。
治療後も継続的な投薬を心掛けましょう。
また、投薬だけではなく生活環境も重要です。
疲労、ストレス、睡眠不足はてんかんリスクを高める可能性がありますので、
疲労回復、ストレスの軽減・回避、そして適度な睡眠を心掛けましょう。
そして何よりも大切になるのが周囲の理解です。
家族やパートナー等、身近な人間がてんかんを理解し、
サポートすることが大切です。
周囲の理解は、患者の心情面に大きく影響します。
てんかんとは何かを理解し、適切なサポートを心掛けましょう。