「うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが原因となり、
脳がうまく働かなくなっている状態です。
日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があり、
女性の方が男性よりも1.6倍くらい多いことが知られています。
特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかる可能性があります。
精神的な症状としては、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった、
意欲や喜びをもてなかったり、ものの見方や考え方が否定的になります。
身体的な症状として、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった症状がでますが、
これらが一時的なものではなく、仕事や日常生活などに大きな支障が生じるほど強く出ている場合、
うつ病の可能性が疑われます。
うつ病は早期発見・早期治療が大切で、しっかりと休養をとることが重要になります。
人によっては長く続くこともありますが、その場合は医師と二人三脚で回復を目指し辛抱強く治療することが大切です。
発症の原因は正確にはよくわかっていません。
しかし、うつ病の患者様の脳のなかで、
感情や意欲を司る働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
具体的には、心を落ち着かせる働きをもつセロトニン、そして活動性を高めて楽しみを感じさせる
ドーパミンという神経伝達物質の機能低下が関与している可能性が考えられます。
この背景にあるのが、精神的なストレスや身体的なストレスではないかと指摘されることが多いです。
心配や過労、重なるストレス、孤独や孤立感、
将来への希望が見いだせないなどがきっかけになりやすいと考えられていますが、
辛い体験や悲しい出来事だけではなく、結婚や進学、就職、
引っ越しなど一見すると嬉しい出来事のあとにも発症することはあります。
その他、遺伝的要因や一部の薬の副作用、ホルモン分泌異常(甲状腺機能低下症や更年期障害など)など
さまざまなものも発症の可能性として挙げられます。
「一日中気分が落ち込んでいる」
「何をしても楽しめない」
「強い悲しみを感じている」といった抑うつ状態や、
「何をする気も起きない」という意欲や喜びの低下があらわれます。
何ごとも悪く考えてしまい、物ごとの捉え方が否定的になったり、
自分がダメな人間だと感じてしまうこともあります。
イライラしたり、焦る気持ちも出てきます。
重症になると「死んでしまいたいほどの辛い気持ち」があらわれることもあります。
うつ病では、患者様本人が感じる気分の変化だけでなく、
周囲からみてわかる変化もあります。
ご家族やお友達の様子が「いつもと違うかもしれない」と感じたら、
もしかしたら本人はうつ状態で苦しんでいるのかもしれません。
薬の副作用やホルモン分泌異常を引き起こす病気などが原因ではない限り、
血液検査や画像検査で異常が見られることはありません。
そのため、うつ病の診断には問診がとても重要になってきます。
あらわれている症状や日常生活の困難さなどから、さまざまな情報を総合して診断されます。
ただし、身体的な病気のひとつの症状としてうつ状態があらわれることもあります。
身体的な病気が疑われるときは、
血液検査や画像検査を行い原因を探っていくという視点も必要になってきます。
また、うつ病は気分障害の一つですが、気分障害にはうつ病とは別に双極性障害などがあります。
うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と活動的な躁状態を繰り返す病気です。
うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので、
しっかりと症状を見極め、診断を行う必要があります。
うつ病はストレスを原因として発症することが多いです。
そのためにはまず、心と体の休養がしっかりととれる環境を整え、
過度なストレスがかからない状態に身を置くことが重要です。
例えば職場や学校がストレスの原因と考えられるのであれば、
できる限り自宅で過ごすようにしてみましょう。
また、うつ病治療の第一歩は、何でも相談できる主治医と関係性を築くことです。
治療を進めるうえで不安や悩みがあれば、主治医に相談しましょう。
治療は薬物療法と精神療法を併用したときに最も効果があると研究の結果わかっています。
うつ病治療の主体となる治療法です。
主に使われるのは抗うつ薬です。
抗うつ薬は、服用を開始してもすぐに効果があらわれなかったり、
効果に個人差があったりします。
効果がみられるまで1~2か月という時間がかかるため、
不安になることもあるとは思いますが、自分の判断で薬の量の増減や中断をせず、
焦らずに継続して服用することが望ましいです。
また、うつ病では様々な体の症状も現れます。
例えば、なかなか寝つけないならば睡眠薬を処方するという風に、
その症状に応じた治療薬を併用することもあります。
薬物療法と同時に行うことが多いです。
精神療法には、支持的精神療法や認知行動療法などがあります。
カウンセリングは、本来すべての患者さんにお勧めしたいと私達は考えています。
薬の効果は薬を中止すれば消えていきますが
カウンセリングで得た成長は御本人のものとしてずっと残るからです。
信愛クリニックでは、うつ状態を病気と捉えるよりも、
本人らしい生き方を取り戻すきっかけであると認識しています。
カウンセリングでじっくりと自分の内側と向き合うことで、
この機会を活かして欲しいと考えています。